ふるさとに学ぶ産業教育 -特色ある教育活動-

 本校の最も特色ある教育として位置づけられてきた「ふるさとに学ぶ産業教育」は、昭和43年以来、稚内市をはじめ、宗谷漁業協同組合、地域や保護者の方々の大きな支援により継続されてきました。これは宗谷中学校の誇りであり、地域の宝であると考えています。

産業教育の歴史

産業教育の始まり
 産業教育は「豊かな資源づくり」「豊かな地域づくり」「豊かな人間づくり」を学ぶことをねらいとして、富磯・宗谷・大岬の3つの中学校が統合して宗谷中学校が創立された当初にスタートしました。当時は地場産業の課題解決のための方針「資源減少に対して養い育てる漁業の方法導入」「創意工夫の能力を育て食品加工の工業化」「共存・共栄の理念で共同精神に徹した水産人に」と言う項目のもと学習が進められており、これらは宗谷沿岸の地域の問題と直結したものでした。

産業教育の見直し
 2002年から施行された「総合的な学習の時間」に伴い、地域性と伝統を引き継ぎながら、生徒の今日的な課題を解決する要素も踏まえ、「夢のある21世紀を創造する産業教育」を目指した見直しが行われました。

 一つは「流通」を学習の柱の一つとして取り上げることです。これは、地域で捕られ加工された海産物が他地域ではどのように取り上げられているのか、宗谷と言う地域を外から眺めることで、地場産業への理解、生産者の責任と創意工夫、そして地域と水産業への誇りを育てることがねらいです。

 もう一つは「共同精神」を要に横断的な学習活動を形成することです。産業教育を通じて学ぶ「共同精神」を「響きあい」と名付け、宗谷中の教育全体の要として三領域と関連づけた学習を目指しました。産業教育も「水産タイム」「ふるさとタイム」「産業タイム」「環境タイム」の4つのカテゴリーに分類し、先人の話から生き方を学ぶ「講話集会」など多様な活動を進めてきました。

 

現在の産業教育
 現在は、伝統を引き継ぎながらも時代に合った課題追求を大事にしながら内容を精選して活動を行っています。4つのカテゴリーを「ふるさとに学ぶ水産教育」「キャリア教育」の2つに整理し、水産活動を通して就労の苦労と喜び、創造性、人と人との関わりを学び「社会の中で生きる力」を育成することに焦点を絞りました。また、漁業以外の他業種に触れて就労の姿勢を学ぶ職場体験学習も数年前から導入しています。

 産業教育活動の成果を発表する総括的な活動「産業教育学習発表会」は、宗谷中生徒の学びと輝きを地域に発信することのできる貴重な場面となっており、長年続けられてきた活動です。今後も伝統を守りながら、組織的に意識を高め合い継続・充実・推進することを目指して活動を継続させていきます。